運と感性とひらめきでやってきた。

なんとなく20年、女社長の振返り日記。1999年に会社設立して、いま思うこと。

社員と一緒の激動期 12

社員の成長


再度、新卒採用しようと思ったのは
やはりSに仕事を任せられるようになっていたからだ。


その頃には毎週、継続的に掲載するクライアントを持っていて、
多い時は週に20本くらいの原稿を回していたと思う。
そんなSだが、初受注までには半年かかった。


日々のテレアポも飛び込みもちゃんとやっている。
一度、訪問できたお客様へのフォローも自分なりに考えてやっていて
S通信という、週1回発行する新聞を作って採用の最新情報をFAXしていた。


さぼっていたり、やり方が悪ければ理由はわかるのだけど、
何なら私の新人時代よりよっぽど一生懸命にやっていた。
でも、何か理由があるはずだった。


Sがテレアポをしていた時に、何だかしどろもどろになっている。


担当者からの突っ込みに、
答えられずグダグダになってしまったようだった。
でも、何とかアポを取ることができたようで同行することになった。


立派なオフィスに通されて待っていると、
派手な雰囲気で声の大きなオジサマがやってきた。


「決まった代理店もあるし普通は会ったりしないけど、
あまりにも訳のわからない電話だったから、会ってみる気になったよ」
と大笑いしていた。


Sは圧倒されてる感じだったけど、
採用の一般的な資料を用意していて、一通り説明していた。


説明が終わると、担当者が
「で、どうしたいの?資料だけ持ってきたの?
だったら僕が会う必要ないよね?」と言われた。


Sの売れない理由は、そこにあった。
「お客様のためになりたい、良く思われたい、
無理に売りたくない」という思いが強かったんだと思う。


もちろん、お客様のことを考えて提案するのは当たり前だが、
売り上げにならなければ仕事ではない。


でもSは「私に仕事をください」ということが言えてなかった。
その担当者は、見た目は派手でちょっとチャラい感じだったけど(笑)、
Sのことを思って言ってくれたのだ。


私も新人の頃に同じようなことがあった。
お客さんの予算を考えて、何となく大きなスペースを提案できなくて、
結果的に採用もできないってことがあった。


大きなスペースを下さいって言うのは、
「お金をたくさん下さい」と言ってるようで、
図々しいような感じがしてしまい、気が引けていた。


そんな時、当時の上司から
「おまえのお財布感覚でお客様の予算を勝手に考えるな。
いくら安くても採用できなければ、無駄金になる。


自分の企画に自信を持ってるなら、
必要であればどんなスペースでも提案できるだろ。
結局、自分に自信がない言い訳だろ」と言われた。


おっしゃる通り、何も反論できなかった。
(負けず嫌いの私は認めなかったけど!)


それ以降は、とにかくどうやったら採用できるかを考え、
提案するようにしていたし、
私が担当したほうが絶対いい採用ができると思うようにした。


今のSに必要なのは、自分に自信を持ち
「私に仕事を任せて下さい」とお客様に言えるようになることだと思った。


アポの帰り道、ちょっと落ち込んでるSと色々と話しをした。
やるべきことは全てやっているんだから、あとは自分に自信を持つだけだった。


察しのいいSは「確かに、お客様に良く思われたくて、
仕事を下さいって言えてませんでした。」と理解していた。


まあ、そこからも初受注までには時間はかかったけど、
その担当者のおかげでSは営業として成長できたと思う。


ちなみにその後、その担当者からも仕事をいただけた。
その時はしっかり提案し、良い採用もでき、
派手なおじさんの担当者から、Sはすごく褒められた。


こういうことが、営業の醍醐味だと思う!

 

【今日のわんこ】

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