運と感性とひらめきでやってきた。

なんとなく20年、女社長の振返り日記。1999年に会社設立して、いま思うこと。

7年間の共同経営 49(退職までの日々3)

*前回からのつづき

当時60歳のイケイケな母。

祖父は「女性は女性らしく」という明治の男性だった。
本当はバリバリ働きたかった母は、その道を断念し家庭を守ってきたが、
私が会社を設立することになり、その気持ちが蘇ってきたようだ。

もともと司法書士の祖父のもとで働いていたので、会社設立の知識もあり、
サクサクと事務手続きをしてくれて本当にありがたかった。

一番すごかったのが、
銀行に資本金の保管金証明書(当時必要だった)を出してもらう時。

当時、私が住んでいるマンションで会社を作ったので、
近くの銀行窓口に相談をすると「実績がないから」と断られた。

設立前の会社だから実績なんてあるはずもないし、
お金を借りるのではなく預けるのに、何なの?と思った。
本当に腹立たしいし、情けなかった。

ただ、銀行窓口の方も私をかわいそうに思ってくれたのか、
「代表者が個人で使っている銀行支店の方が、融通がききますよ。」
と教えてくれたので、学生時代から使っている銀行口座のある支店に向かった。

その支店の相談窓口へ行くと、仕切りがあるテーブル席に通された。

支店長が出てきて、「最近、都銀は審査も厳しくなってるので、
審査書類を提出いただき、2~3週間かかりますよ。」と
明らかに迷惑そうに言われた。


腹がたつけど、こんなもんなんだとあきらめかけてたら
付き添ってきた母が、
「そんなはずはないです。私も司法書士事務所で仕事してるけど、
かかっても1週間でしょ。なんとかして下さい」と言い放っていた…。

支店長は気まずくなったのか…。外出しなければいけないとかで、
別の担当者に引き継ぎして、「面倒臭い客だ」という雰囲気ムンムンで出て行った。

また融通のきかない担当者が出てくるのかと思っていたところ、
その人は本店から期間限定で来ているようで、すごく感じが良く、
見るからに仕事ができそうだった。


私の本籍地を見て「僕も同郷です」って言った瞬間、母のスイッチが入る。


「どこに住んでたの?あら中学も近いわね~。えっ高校時代、野球部なの?」
と、ぐいぐい押して担当者の個人情報聞き出しまくり、
「やっぱり同郷よね~。あ~安心した、これで大丈夫ね1週間で何とかして下さい。」
と、担当者の返事も聞かずに満面の笑み。担当者も笑うしかなかった。


そして、この担当者が本当にできる人で!
支店長が曖昧にしていたことを、本店マターで対応してくれて
「僕が責任持ってやります」と、1週間で証明書を出してくれた。


この担当者でなければ、たぶんたらい回しにされてた。
私の引きが強いのか、、、いやいや、母のおかげだ♪


強力(強烈)な母のサポートもあり、会社設立の登記の準備も整ったけど、
ジャイアンと女王様は相変わらずの状態だった。


私が何も言わなかったので
ジャイアンたちは、私があきらめていると思っていたようだ。


しかし、私は予定通り9月13日に登記をすませた。


そして1週間ほど出張に出る時に、
手紙とともに、取締役辞任届と新しい会社の登記簿を机に置いていった。


もうこれで本当に後戻りができないし、
辞めるまでの数ヶ月に渡る、いばらの道がはじまった。


つづく


【今日のわんこ】

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