7年間の共同経営 42(会社を辞める準備)
*前回からのつづき
辞めることを決めたとはいえ、
仕事のことを考えると、今日の明日でできることではない。
ただし、期限を決めなければダラダラといってしまう。
H部長のプロジェクトは2年契約で受けていて、それが終了するのは翌年の夏。
そして決算も夏にあるので、それを全てやり終えたら辞めることに決めた。
会社の設立日も、F先生にいつにしたらいいかを聞いてみた。
F先生は名前だけでなく、方位や日取りなども見てくれる。
先生から、「来年の9月13日が一番いい。その日しかないよ」と言われた。
※キリスト教では13は悪いイメージだけど、仏教の国では13は吉数字だそうだ。
設立日が決まったことで、やるべきことも明確になってきた。
まずは会社の経理。
私が全てやっていたので、辞めると言ったら「どうするんだ」と言ってくるはず。
H部長のプロジェクトが忙しいことを理由に、
前職で経理経験があったジャイアン弟のKくんに少しづつ引き継いでいくことにした。
Kくんから「これ全部、麦とオレンジがやってたの?なんで??」と言われた。
私も正直、すごく面倒臭いし、
決算前になると会計士さんとのやりとりとか大変だったけど、
自分が会社を設立するとなったらその経験が役に立つ。
何でも、無駄な経験はないんだな~と思った。
それからH部長のプロジェクトも、
私としては少しづつフェードアウトしたかったので、
「現場に専念したいから、定例ミーティングからはずして欲しい」
とジャイアンに言ってみた。
H部長と良からぬ相談をしているジャイアンは、
私がいないほうが好都合なので
「まあ、俺がいればいいから、現場頼むよ」と上機嫌だった。
そして、私のクライアントに関しては、
地蔵男子くんやジャイアンが制作しているものが結構あったから、
「H部長のプロジェクトで、ジャイアンも地蔵男子くんも忙しいし、
私も出張が多くて社内に戻れないから、外部に発注したいんだけど」と言ってみた。
もちろん目先の経費を考える女王様は反対したけど、
上機嫌なジャイアンはめずらしく私に賛成してくれた。
「効率考えたら、その方がいいよ」ってことになり、
私の意見が通ることになった。
H部長のプロジェクトで会社も潤っていたし、
私は仕事も一生懸命やっていたから、私が会社を辞めようと準備してるなんて
誰も気づかなかったし、気づかれないように、元気に楽しそうに仕事をしていた。
もちろん、ジャイアン、女王様は変わってないないから、
日々、色んな事件も起きてたけど、
「自分の会社じゃないんだから」と思うと何も感じなくなるし、
どうぞ勝手にやって下さいと冷静でいられた。
淡々と文句も言わずにプロジェクトの現場をこなしていたから、
H部長の社内で、私の評価は高かった。
さんざん私に対していじわるしていたくせに、
ジャイアンは、H部長の会社の人たちの前では私のことを
「仕事で信頼できるから一緒に起業した、大事な仲間なんです!」と、
背中がぞっとするような褒め言葉を言うようになった。
今さらそんなこと言われても、もう私の心は決まってるんだから!
とニコニコしながら思ってた。
来年の9月13日からは、自分の会社なんだ!!!と思えば、どんなことも我慢できた。
つづく
【今日のわんこ】