7年間の共同経営 43(後輩のY)
*前回からのつづき
自分の心の中では、9月13日に向けて進んでいたけど、
もちろん対外的には4人で頑張っている会社だった。
前職の後輩達が来ると、みんなで食事やカラオケに行ったりしてたから、
本当に4人で仲良くやっていると思われていた。
あるとき後輩のYが、保険会社に転職したと挨拶にやってきた。
*
Yは、前職時代に私のチームのメンバーだった。
入社当初はムードメーカーで面白い子だったので、
社内の色んなイベントで目立っている存在で元気印だったのに、
私のチームに来る前はずっと営業成績が悪く…
「どん底を下から見ていました」って名言(迷言)が出るくらい、
会社でもあまり目立たない存在になっていた。
そんな時、人事異動で私のチームに来ることになった。
私は「営業成績が悪い=仕事をしてない」と思っていたから、
Yは、ちゃんとやってないんだろうと思っていた。
新チームは、Y&さらにその後輩2名の4人体制。
メンバーの営業状況を知るために個別のミーティングを始めた。
まずはYとのミーティング。
「サボッってちゃんと仕事してないから、営業数字が上がらないんだ」
と思っていたけど、実際のYは、本当にクライアントのことを考え、
真面目に営業していた。
私の助言も素直に聞いてすぐに実行し、ちゃんと報告してくる。
逆になんで売れないのか不思議だった。
その頃、バブルが弾けた直後で、会社は目先の数字ばかりを評価していた。
Yは仕事ができないダメ人間のような扱いをされていたし、
前のチームでは、売れないことだけ詰められていて、
精神的に追い詰められていたんだと思った。
私も表面的な部分しか見ていなくて、Yのことを誤解していたことを反省した。
目先の数字が上がっていないだけで
Yはいつか絶対に結果が出ると思ったし、そんなYを何とかサポートしたいと思った。
上司から「Yはダメだから辞めてもらってもいい」みたいなことも言われたけど、
「おまえらは見る目がないんだよ!」とムカついて無視してたし、
いつか絶対にYは売れると信じていた。
そしてYも、そんな私の気持ちに応えてくれて
売れなくても腐らず一生懸命に頑張ってくれた。
私のチームにいる間に結果は出なかったけど
(私はYがメンバーになってから、3ヶ月で前職を辞めてしまったので…。)
私が辞めた後、Yは本当に結果を出した。
大型受注を何本も決めた。
それまでは、さんざん売れないと文句を言ってた上司たちは手のひら返しで
Yを褒めちぎったようだ。
そんな手のひら返しに嫌気がさしたYは、
会社を辞めて新しい保険の世界へ入ったとのことだった。
保険の売り込みに来たわけではないけど、
「まだ慣れてないんで商品説明だけさせてもらってもいいですか?」と。
慣れないながらも一生懸命な説明だったし、
Yを応援したい気持ちもあったから、もちろん私は保険に入った。
私のことをメンターとして慕ってくれているYは
「本当にありがとうございます。保険で色んな会社の方に知り合うと思うので、
麦とオレンジさんの仕事になりそうな時は絶対に紹介します。」と言ってくれた。
*
そして、それから20年以上たった今でも、
仕事を紹介してくれたり、私の会社やメンバーのことを気にかけてくれている。
つづく
【今日のわんこ】