7年間の共同経営 32(入院生活2)
*前回からのつづき
入院したことは、お客様にも言ってなかった。
1週間経った頃には、車椅子で動けるようになっていたから、
公衆電話から仕事の連絡をしていた。
お客様に電話をし、外部のデザイナーさんに発注をし、
校正原稿を宅急便で送ってもらい、、、
病院にいながらも仕事が完結することに気がついた。
もちろん細かい入稿作業等は、地蔵男子くんがやってくれていたんだけど、
一人でも仕事ができるんだな~と思った。
車椅子では動けるものの、なかなか歩くことができなかった。
早く退院したかったけど、結局、入院生活は3週間になってしまった。
入院したことで、伯母が毎日病院に来てくれたり、
ベッドがお隣のおばーちゃんと談笑したり、
友人たちが手紙をくれたりお見舞いにきてくれたりと、
色んな優しさにふれて、心が少しふんわりした気がした。
R子が言ってるように、この数年で私の心は錆びてたんだと思う。
この数年間、こんなにゆっくりとした時間があることはなかったし、
歩けないからベッドでジッとしてるしかない。
でにそれは、色んなことを冷静に考えられる大事な時間になった。
何となく勢いで前職を辞めてから
思いもよらない色んな事件が起こったけど、
頑張って仕事して、ちゃんと食べられるようになれば、
きっと全てうまくいくと思ってた。
ところが…、仕事は順調で前職時代より収入は増えても、
何も状況は変わらなかった。
私が大事にすべきなのは、この会社ではないと思った。
ただ、その時の会社の売り上げは、8割が私の売り上げだった。
私が辞めると会社は立ちいかなくなるし、そんなの許してもらえるはずもない。
結局、解決策はみつからないまま、退院の日がきた。
伯母がどうしてもはずせない用事が入っていたので、
退院の日は女王様が来てくれて、家に送ってもらう途中、
私の家の近所でランチをすることになった。
私がいない間の3週間のことを話したかったようで、
女王様はずっと一人でしゃべっていた。
ジャイアンは4人の話し合いの時は女王様の味方だが、
女王様との二人だと、良く喧嘩をしていた。
私が入院してたから、ジャイアンと女王様のバトルが頻繁にあったようで、
「ジャイアンが電話番に時間通りこない」とか
「お客様に同行したら遅刻した」とか、、、
はっきり言えば、お互いさまだな~と思いつつ、女王様の話しを聞き流していた。
ただ、退院直後の私は椅子に座ってるのがつらかった。
退院に付き添ってもらってありがたかったけど、
女王様はやっぱり女王様で、自分の話をすることに夢中…。
結局、話しが終わるのを待って家まで送ってもらった。
もちろん丁重にお礼を言ったけど、
友人で共同経営者のはずの女王様への気持ちは冷めてきっていた。
このままではダメなんだろうな~と、感じていた。
つづく
【今日のわんこ】