7年間の共同経営 41（F先生との出会い）

*前回からのつづき

福岡出張の後、ずっと休んでなかったので
少し休みをもらって実家へ帰った。

実家に帰ると、父と晩酌し、父が寝た後は
母と夜中までのトークタイムがお決まりだった。

会社であったことを母に色々と話していたら、
「明日、連れて行きたいところがあるから。」と言われて、
「どこに行くの？」って聞いたら、
「明日のお楽しみ」と嬉しそうに言ってきた。

翌日、母に連れられて行ったのは、古びた小さな一軒家。
母がチャイムを鳴らすと、黒縁メガネで坊主頭のおじさんが出てきた。

母が嬉々として「F先生、娘を連れてきました」と言って、
私を部屋の中に入るように促す。

母がF先生と呼んでる黒縁メガネのオジさんは、
名前の画数を見て姓名判断をしているとのことだったが、
何だか胡散臭いし、私は母が騙されてるんじゃないかと思って
不信感満々だった。

どうせ調子のいいこと言ってお金取る気なんでしょと思ったけど、
母の手前もあり、まずは話しを聞いてみることにした。

「お母さんから、麦とオレンジちゃんのことは聞いてるからはっきり言うけど、
あなたはビジネスで絶対成功するから、一人でやりなさい」
といきなりぶち込んできた。

「一緒にやってる人の名前は？」と聞かれたので、
女王様、ジャイアン、地蔵男子くんの名前を紙に書いた。

一人づつ数字を書きだして、3人ともに何か結果が出たようだった。

「まず女王様。この女はプライドが高くて、
自分が一番じゃないと気に入らないし、すぐに感情的になる。
大きな視野で考えられないからトップに立つ器ではない。

次にジャイアン。親分肌で男気があるように見せて
実は蛇のように執念深くて陰湿な性格。
時間を守らなかったり、生活が乱れやすいし金使いも荒いから
いつかお金か女で破綻する。

最後に地蔵男子くん。
優しい性格だけど、思ったことを言えないし
波風たてないように流されるから、御用聞きのようになってしまう。

ということで、
麦とオレンジちゃんが一緒にビジネスをする人たちではないから、
すぐにでも離れなさい」と言われた。

正直、3人の性格を言い当てられてびっくりした。

母に会社の話しはしていたけど
女王様、ジャイアン、地蔵男子くんの性格は言ってなかった。
その先生は名前で判断したということになる。

「何でわかったんですか？」と聞くと、

「漢字のある国には、名前の画数で姓名判断をする文化があって
それには長い歴史がある。
もちろん絶対ではないけれど、統計学のようなもの。

良いと言われる画数の名前を付けることが日本では大事に考えられてる。
だから、赤ちゃんの名前をつけるのを命名というんだよ。
命の名ってくらい大事なこと。

麦とオレンジちゃんは、本当にいい名前をつけてもらったんだから、
良くない名前で悪い運命の人たちと一緒にいては、ダメ。

きれいな水に住んでる魚は汚い水には住めないんだよ。
きれいな水に戻りなさい」と言われた。

そうか、住む水が違ったんだ～。と妙に納得したのを覚えている。

女王様、ジャイアンにモヤモヤしながらも仕事は楽しかったし、
気にしなければいいんだと自分の気持ちを閉じ込めていたけれど、
「そうか、辞めてもいいんだ」と思った瞬間に
モヤモヤしたものが一気に晴れた気がした。

そしてその日から、母の猛烈なプッシュもあり、
私は会社を辞めるために具体的に動くことになった。

つづく

【今日のわんこ】