運と感性とひらめきでやってきた。

なんとなく20年、女社長の振返り日記。1999年に会社設立して、いま思うこと。

設立当時に、やっていたこと。 1

まずは、お金のこと。

自分の会社をスタートする時、
「伯母の高校時代の友人が、銀座で会計士をやっているから」と
U先生を紹介された。


前の会社では、私の親友であるR子のお兄さんに経理をお願いしていた。
引き続きお願いする予定だったけど、地方だったこともあり、
近くにあるほうが良いということで、U先生にお願いすることになった。


会社スタートのご挨拶に伺い、今後の相談をした時のこと。
「会社の口座から700万円引き出されてますが、何に使ったのですか?」
と聞かれたので、
「資本金に1000万円必要だったのですが、300万円しか持っていなくて
両親に700万円借りていたので、その返済です。」と答えた。


当時、株式会社の資本金は1000万円。
私の貯金は300万円しかなかったから、有限会社で設立するつもりだった。


しかし、イケイケの母から
「株式会社にしなさい。残りの700万円は出してあげる」と言われた。


自分の会社をやる前、
女王様たちと一緒につくった会社が「株式会社」だったので、
私が1人で作る会社が「有限会社」というのは、
母として絶対に許せなかったようだった。


私も本心としては株式会社にしたかったけど、
親に迷惑はかけられないと思いあきらめていた。
でも、母の言葉に甘えて700万を出してもらうのではなく、
貸してもらうことにしたのだった。


そんな経緯(両親に借りた700万円を、
会社の口座から引き出して返した)だったので、
U先生にはすんなり了解してもらえると思った。

ところが、

「これは ”麦とオレンジちゃんの借金”ですね。
会社への返済義務があります。社長の短期借入れにしますから、
今期中に返済して下さい。」と冷たく言われた。

「今期中って、あと8ヶ月しかないし。
そもそも私が設立した私の会社のお金なのに、ダメなんですか?」と聞くと、

「会社には法人格という人格があり、
それは麦とオレンジちゃん個人ではありません。
ダメな経営者の典型が法人と個人を同化させる人で、
まさに、今のあなたですよ。」と…。

8ヶ月で返済し会社の経費を支払い、自分も生活していくためには、
最低でも1000万円の粗利を出さなければいけない…。


まずは、1000万円の粗利を出す事業計画を立てることになった。

伯母からU先生を紹介された際、
何度か事務所に伺ったり、食事に行った時には優しいおじさんだったのに。
いざ仕事になったら大違い。私の痛いところをガンガンついてくる…。


私は今までも、計画的に仕事をするというより、
やってたことがうまく数字になっていたという感じ。


U先生は私と話しをする中で、感性で仕事をしていることを見抜き、
経営者としてやっていくには厳しいと思い、
スタートのこの時期に、
しっかりお金のことを考えさせようと思ってくれてたようだ。


まずはクライアントの洗い出し、[ヨミ表]を作った。
[ヨミ表]というのは、新人時代の会社で作らされていたもの。


●すでに受注が決まってるもの→ 先付け
●70%以上の確率で受注できそうなもの→ Aヨミ
●50〜70%くらいの確率→ Bヨミ
●30〜50%くらいの確率→ Cヨミ
それ以外はアタック(何のヨミもないけど、何かを提案すること)


1月の時点で、先付け・A・Bで600万くらい。
Cを入れても1000万円には届かなかった。
ヨミの角度をあげ、アタックからヨミにするために
クライアントを訪問し、ヒアリングし、ニーズを聞き出した。


ありがたいことに、設立のご祝儀仕事もあって早々に目標をクリアすることができた。


もちろん新人時代の会社には、
「目標」と言う名のえぐいノルマもあったし、ヨミ表も作ったことはあったけど、
自分の会社で自由になり、
“好きな仕事を好きな人としたいし、利益は後から付いてくる”と、
どこかフワッとして計画性のない私を、U先生は心配して
厳しく律してくれたんだと思う。


U先生に「今期の目標もクリアでき、きちんと返済できます」と伝えた時に、


「麦とオレンジちゃんは、人として魅力的で、
多くのクライアントの皆さんにかわいがってもらっているけど、
経営者として認められるためには、まずはお金にクリーンで厳しくあること。

毎月の請求はしっかり出し、支払いは絶対に期日を守ること。
これを続けていれば信用されるし、会社として認められる。

そのためには経営計画をきちんと作り、まずは3ヶ月でもいい。
それができるようになったら、半年・1年・3年と計画を立てていく。

そうすることで、収益を把握でき、支払いが滞ることもない。
会社の規模の大小は関係ない。お金にクリーンで厳しい会社になりなさい。」
と言われた。


最初は厳しい会計士さんで嫌だなとか思ってたけど、
経営者としてやっていくための基本を教えてもらえたと思っている。


おかげで20年間、請求書の未回収は0件、支払いも基本的に遅れたことはない。
個人事業主の方や実費が発生しそうな仕事には、
なるべく早く支払いをするようにしている。


どんなに厳しい時代も、これだけは絶対に続けていたし、これからも続けていく。
お金にクリーンで厳しい会社でありたいと思う。

 

【今日のわんこ】

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