運と感性とひらめきでやってきた。

なんとなく20年、女社長の振返り日記。1999年に会社設立して、いま思うこと。

7年間の共同経営 47(退職までの日々)

*前回からのつづき

そんなこんなうちに、H部長のプロジェクトも佳境に入っていた。


全国でイベントがあり、出張の日々だったから体はしんどかったけど、
気持ちはすごく楽で仕事も楽しかった。


プロジェクトも終わりに近いづいていた頃、ジャイアンがH部長に呼び出された。

この案件は、海外本部からも評価が高く、次のプロジェクトが決まったそうだ。


「次回は形式上コンペにして、S社をはずすから頼んだよ」
と言われたそうで、ジャイアンは上機嫌で帰ってきた。


次のプロジェクト開始は来年からということで、
年内で企画を固めておきたいとのことだった。


仕事の内容としてはとても面白そうだし、予算も出る大きな仕事だった。
もちろん私もメンバーに入っているはずだが、
このプロジェクトに関わると、1年間は辞められなくなる。


会社を辞めることは決めているけど、プロジェクトにはとても魅力があったし、
ジャイアンや女王様との接点が少なくなっていたので、
辞める時期をずらしたらいいかな?と、正直なところ少しぐらついていた。


「何かあれば、電話しておいで」とF先生に言ってもらってたので、
「次のプロジェクトをやってみたいから、時期をずらそうかと思ってる」
って話しをしたところ

「辞めることを逃げちゃだめだよ。今年出なければずっとそのままだよ。
面白い仕事なんて、自分の会社でいつでもできる。
逃げ道作らずに、しっかり決めたことをやりなさい」と言われた。


F先生には見透かされていた。
やはり辞めるとなると大揉めすることはわかってたし、
どんな状況になるか想像がついた。


でも、それを乗り越えなければ自分の会社はできないし、
やるしかなかったのに、楽な方へ行きそうになっていた。


F先生と話して、目が覚めた。
退路を断って突き進むために、ジャイアン・女王様・地蔵男子くんに話すことにした。


話した後は少し時間が必要だと思い、金曜日の夜に話をすることにした。
その日も、いつも通り女王様は午後から、
ジャイアンは夕方にやってきて、バタバタ仕事をしていたため、
みんなが落ち着いたのは、日付が変わる時間だった。


ジャイアンが帰ろうとしたので
「ちょっとみんなに話しがあるから、時間もらってもいいかな?」と言うと、


明らかに、金曜の夜に面倒臭いなって感じで「早くしてくれよ」と言われた。
まさか私が、会社を辞めたいと言い出すなんて思っていなかったようだ。


そして私は、「自分の会社を作りたいから、
H部長のプロジェクトが終わったら辞めさせてほしい」と切り出した。


みんな青天の霹靂だったようで、しばらく誰も話しをしなかった。
最初に口を開いたのは女王様で
「何で?せっかく仕事も軌道に乗って、
次のプロジェクトだって決まってるし、何が不満なの?」と言われた。


おまえとジャイアンとやるのが限界なんだよ!!!と心の中で思ったけど、
「私のわがままで、どうしても自分でやってみたくなった」という理由で通した。


ジャイアンは、プロジェクトのこともあり一番動揺したようで
「そんな話しは聞きたくない」と言って出て行ってしまった。
地蔵男子くんは何も言わなかった。

ジャイアンが出て行ってしまったので、その日の話し合いは終了。
終電はなくなっていたのでタクシーで帰ろうと思ったけど、
女王様が「いつも送ってるのに何でよ。今日も送ってあげるから。」と言うので、
地蔵男子くんと一緒に女王様の車に乗った。

3人とも何も話さないまま私の家に着いた。
車を降りる時「ジャイアンはすぐに感情的になるから。
私は冷静だから、もう一度ゆっくり話しを聞かせてほしい」と女王様に言われた。


女王様が冷静だとは思えなかったけど、
断る理由もなかったので、あらためて話しをすることになった。


家に着くと、心配して実家から来てくれてた母が
夜食を作って待っててくれていた。


とりあえず辞める話しはしてきたけど、途中でジャイアンが帰ってしまったから、
了承してもらったわけではないことを伝えた。


「まあ、産みの苦しみだから、仕方ないわね。
でも、まずは話しをしたんだから、一歩進んだね」と言ってくれた。


母は、実家から糠床を持ってきてくれていた。
その日の夜食は、私の大好物のお漬物にご飯と簡単なものだったけど、
すっごくありがたくて、美味しかった。


しかし、ここから辞めるまでの半年間は、かなりヘビーな日々になっていく。



つづく



【今日のわんこ】

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