運と感性とひらめきでやってきた。

なんとなく20年、女社長の振返り日記。1999年に会社設立して、いま思うこと。

7年間の共同経営 25(Wさんとの出会い)

*前回からのつづき

ジャイアンにも定期的に広告の仕事が来るようになった。
ジャイアンの自宅をオフィスにしている頃、彼の前職のクライアントが、
某業界の新聞社で部長を務めるWさんを紹介してくれていた。

若い人たちが頑張っているから」と
まずは新聞広告のデザインの仕事を回してくれていた。
しばらくは小さい枠の広告だったけど、ありがたい仕事だった。

ジャイアンにとっては、やっとできた自分の仕事。Wさんについて、
「大事なお客様なんだから、電話があった時はちゃんと対応してくれ」
と私たちに言っていた。

そんなこと言われなくても、お客様からの電話をちゃんとするのは当たり前で、
できてないのはおまえだろ!と心の中では思ってた。

Wさんからの電話にはもちろん感じよく対応した。
私の電話対応をWさんはとても褒めてくださっていたようで、
ジャイアンも機嫌が良かった。

ジャイアンの仕事のスタンスは、お客様と特別な関係(?)になること。
「〇〇さんのために、やりました」とか
「何とか無理しますよ」「儲けなしでやります」などなど。
ジャイアン曰く、お客様と握れるかどうかだそうだ。

Wさんともそういう関係になりたかったみたいだけど、
Wさんは「私のためにとかじゃなく、ちゃんと儲けてほしいし、
いい仕事してくれたら、私はそれが嬉しい」とおっしゃていたようだった。

またWさんは、新聞社内で
「特別な関係だから仕事を回してる」などと思われないように、
できる限りオフィシャルに付き合ってくれていて、
私たちのオフィスにも来ないようにしてたみたい。

ジャイアンが何度お願いしても、
オフィスにも来ないし食事にも行ってくれなかったので、
何とか特別な関係になりたいジャイアンは私に
「Wさんは、おまえのこと気に入ってるから
オフィスに来るように言ってくれ」と頼んできた。

“いつも偉そうなくせに”と思ったけど、
会社にとっても大事なお客様だし、私を気に入ってくれてるみたいなので、
広告の件でお電話をいただいた際に、お願いしたみた。

Wさんは「僕の主義としては、仕事を発注している会社とは、
距離を置くようにしてるんだけど、麦とオレンジさん(私)の
電話対応にすごく感心していて。
一度、会ってみたいと思ってたから機会を見て伺います」というお返事だった。

ほどなくして、オフィスにWさんが来てくれた。
新聞社では鬼部長らしいけれど、
私たちには笑顔で優しく話してくれて、とても好印象だった。

仕事の話しになると、ジャイアンへ言ってたように
「私のためにとかじゃなく、ちゃんと儲けてほしいし、
いい仕事してくれたら、私はそれが嬉しい」といつも言ってくれていた。

小さい枠の広告の仕事は、
ジャイアンではなく地蔵男子くんが制作をするようになっていた。
ジャイアンと違いきちんと仕事をするので、
新聞社内でも評価が高くなり、どんどん仕事が入ってくるようになった。

時々オフィスに来るようになったWさんも、
何となく私たちの状況を察したようで、
重要なことは、私と地蔵男子くんに話してくれるようになった。
その頃はWさんのこと、とても素敵な人だと思ってたし実際にそうだった。

まさか十数年後にモンスターになるとは、その頃は思いもしなかった…。


つづく


【今日のわんこ】

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