運と感性とひらめきでやってきた。

なんとなく20年、女社長の振返り日記。1999年に会社設立して、いま思うこと。

7年間の共同経営 22(またまた大型受注)

*前回からのつづき


オフィスを引っ越してから、営業は絶好調だった。

またしても、前職でお世話になっていた会社のS部長から、
「新事業部で広告出すことになったので、提案してもらいたい」と連絡が入る。

早速訪問の上、新事業部の担当者から詳細をお聞きし、
原稿を提案することになった。

ただ、新事業部の担当者も
以前からお付き合いのある広告代理店へ声をかけていて、コンペだった。
でも、これが決まればベタS(継続的に仕事が出るスポンサー)となる。

大手外資系ブランドに続く大型受注がかかっている。
かなり気合いの入ったプレゼンのため、
制作はジャイアンではなく、外部のデザイナーへ発注することになった。

前職時代の同僚で、デザイン会社の社長になった
Mくんにお願いすることにした。

ジャイアンと違って、
Mくんとの仕事はすごくやりやすい上にセンスもいい。
すごくいい原稿ができた。


Mくんも同行してくれて、S部長と新事業部の担当者へプレゼン。
シリーズ展開の広告にしていたため、
その企画も気に入ってもらい、めでたくコンペに勝つことができた!

さらにS部長は関連会社も紹介してくれて、
その会社の社内報(隔月発行)の仕事もいただけることになる。

社内報は女性社員向けのものだったし、
ジャイアンと一緒に取材や制作をするのは考えただけでゾッとした。
この案件は私の後輩である、フリーのデザイナーにお願いすることにした。

立て続けに大型受注をしていたから、
私が外部へ制作依頼することを女王様も口出しできなかった。

またまた話しはずれるけど、S部長について。

この会社は、前職で入社2年目の引継ぎで担当になった。
私の前任は、華奢&か弱い感じの女性Tさん。

S部長の会社はかなり広告を出稿していたため、
Tさんは足しげくS部長の会社に通っていたようで、
S部長はTさんをとても気に入っていた。

そのあと担当になったのが、Tさんとはタイプが真逆の私。。。

「声がでかい」とか「申込書の字が雑だ」とか、
Tさんと比較されては何かにつけダメ出しをされていて、
私もあんまりS部長を好きになれなかったし、苦手だった。

だけどまあ仕事だし、数字の出るクライアントだからと我慢していた。

ところが、ある時
「Tさんは広告の出稿がない週でも、2~3回は訪問に来てたのに
君は何で来ないんだ。やる気がない」と言われ、
若かりし頃の私はブチ切れてしまった。

「必要もないのに訪問するなんて意味がないし時間の無駄です。
いい企画を提案して結果を出すことのほうが重要です。
無意味に訪問するような営業が良ければ、変えてもらって結構です」
と言い放ってしまい…。

とりあえず上司に報告をしたら、とにかくお詫びに行こうと言われたが、
20代前半、怖い物知らずの私は
「何で謝る必要があるんですか?私は絶対行きませんよ。
S部長の会社の分の数字は、他で作りますから」と上司に言った。

仕方なく上司は、一人でS部長に謝りに行った。
「あんな生意気な営業は今まで見たことない。どんな教育してるんだ。」
と言われたようで。

ただ、「あいつは、いい企画を提案して結果を出すと言ってたから、
次回の広告を依頼する。そこで結果が出れば全面的に任せるけど、
結果が出なければ他の代理店に変える。」とも言ったようだった。

私の売り上げは、自分だけでなく営業所全体の数字にも関わってくる。

S部長の会社は、営業所の中でも
Aランク(売上高が高い)クライアントだったため、上司は頭を抱えていた。

そんな中、絶対的な自信があった私は
“絶対に結果を出すから大丈夫なのに”と思っていた。

そして、次回の広告打ち合せのためにS部長に会いに行き、
悪いとは思ってなかったけど、上司から言われてた手前
「先日はすみませんでした」と一応謝った。

S部長もそこはさらっと流して、次回広告の要件を伝えた上で、
「いい企画を提案してくれると思うから期待してるよ。
でも結果が出なかったら次はないから」とのことだった。

私としては、色々と言い返したかったけど、
そこはぐっとこらえて“結果出して見返してやる!”と心の中で思った。

そして、私の企画した広告は本当に良い結果が出た。
S部長から、次の広告の打ち合わせをしたいと連絡が入る。

そこでS部長は
「おまえ根性あるな。生意気なだけで、本当に結果出すとは思わなかった。
Tさんと比べて悪かったよ。これからは必要と思う時に打ち合わせに来ればいいし、
年間の予算の使い方も任せる。
でも、申込書の字はもう少しきれいに書けよ」と言ってくれた。

いくら結果が出たとは言え、あんなに失礼な態度をとったのに
謝ってくれて。年間の予算まで任せてくれて…。

この時から私は、苦手なタイプとか決めつけず、
まずは謙虚になって仕事をするようにしている。
(できているかはわからないけど、、、)

S部長との出会いは、私の仕事の基本を作ってくれた。
本当に感謝しかない。


つづく


【今日のわんこ】

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