運と感性とひらめきでやってきた。

なんとなく20年、女社長の振返り日記。1999年に会社設立して、いま思うこと。

7年間の共同経営 21(大型受注)

*前回からのつづき


新しいオフィスは日当たりも良く、
狭いけど自分のデスクもあり快適だった。

やっと会社らしくなってきたし、仕事も順調。
ちょうどその頃、前職の会社がグループ再編で大幅に組織変更となった。

退職の際に、既存のクライアントは後輩たちに引き継いでいた。
自分で会社を立ち上げてからは、
前職でお付き合いのあった企業へ塗料の営業はしたものの、
広告の営業はしていなかった。

ところが、前職の組織変更により
私のクライアントを引き継いだ後輩たちも、退職したり異動となった。

そんな時に、クライアントから私へ連絡が入る。
早速伺ってみると、「うちの広告担当も全く知らない子になったし、
グループ再編で前の会社はなくなってるんだから、
うちの仕事やってくれない?」と言うありがたいお話しだった。

とはいえ、このクライアントは外資系大手のブランド。
そんな大手が私の会社と契約してくれるのか心配だったから、
素直に担当者のTさんに聞いてみた。

Tさんは「前職の時に一生懸命うちの仕事をしてくれた
麦とオレンジちゃん(私)は、うちの会社のファミリーだって
取締役のMさんも了承してくれてるから、心配しないで大丈夫よ。」
と、事前に役員会でOKをとってくれていた。

年間でかなりの広告を出している会社だったから大型受注になる。
そして安定収入を得られることになり、給料もかなりアップすることができた。

Tさんは、私たちにとって本当に救いの神だった。

ちょっと話しはずれるけれど、救いの神のTさんについて。
Tさんは男性だが、おねえ言葉を話し、ちょっと癖のある人だった。

前職で最初に担当した時、私は入社2年目。
前任の担当者はマネージャークラスの男性だったので、
「なんだ、今度の担当は女の子なの?
ちゃんと仕事できるのかしら~」と初対面で言われた。

なんだこいつ!!!って思ったけど、
ビッグクライアントだったし、とにかく認めてもらおうと思った。

そして、Tさんに認めてもらうためには、さらなるハードルがあった。

その会社には複数のブランドがあり、
実際の仕事は各ブランド担当者とのやりとりになる。Tさんは統括する立場だった。

ブランド担当者は、私よりかなり年上のお姉さま方だった。

前職で、そのクライアントの担当はずっと男性だったから、
「なんで女性用の商品なのに、女性が担当しないんだろう?」
と内心思っていたけど、ブランド担当者にお会いして理解できた。

皆さん、美人で仕事もできて、まあ厳しい方々だった(特に女性に対して)。

私が良かれと思って言うことも、
小生意気だと受け止められたら、徹底的に叩きのめされそうだった。
この人たちに嫌われたら、仕事は絶対的にやりづらくなる。

私は、そのメーカーの商材に疎いほうだったから、
お姉さま方に認めてもらうために、とにかく謙虚な態度で。
そして、しっかりブランドのことを知る必要があると思った。

色んな百貨店に行き、ブランドの店舗を見てまわったり、
時には接客を受けて商品を購入することもあった。
そんなことをしているうちに、
かなりブランドのことに詳しくなったし、好きにもなった。

最初の頃は、「商品の知識もないしキャリアも浅い女子でしょ?」
という感じで、冷たかったブランドの担当者も、
徐々に信用してくれるようになった。

私が、「ブランドのことを理解している」と気づいてくれたようだったし、
謙虚な態度で、小僧に徹したことも良かったみたい。
すごくかわいがってくれるようになった。

時には「ちょっと口紅ずれてるわよ。」とお直しをしてくれたり、
私にあう化粧品をプレゼントしてくれたり。

Tさんは「よく、あの人たちに気にいられたわね~!」と驚いていたし、
もちろんTさんも私のことを認めてくれた。

そして、その会社とは今でもお仕事をさせていただいていて、
もう30年のおつきあいになる。
本当にTさんのおかげだと感謝している。


つづく


【今日のわんこ】

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