起死回生のビジネスの立ち上げ期 6
Wさん 4
「ちょっと仕事の話しがあるから、オフィスに行くよ」
とWさんから電話があった。
ここのところ、仕事の話しと言いつつ世間話しに付き合うことが多かったから、
あまり気乗りはしなかったけど、お会いすることにした。
話しを聞いてみると、Wさんの同期が転職した社団法人が発行している
会報誌の広告の仕事だった。
Wさんの同期であるSさんは、Wさんが新聞社でくすぶっていて
年収も激減しているのを心配していた。
「あんな会社にいてくすぶってるのはもったいないよ。
うちの会報誌の仕事をすれば、今より収入は増えるし、
思い切って会社を辞めて、やってみろよ」と言ってくれたそうだ。
Wさんの話によると、
「Sが言うには、今、会報誌の広告をやってる代理店の営業力がなくて、
年々広告の出稿数が減っているから、新しい代理店に変えようと思っていて。
それを俺にやってほしいってことなんだよ。」と久々に嬉しそうだった。
Wさんは「マージンは30%ということだし、俺の人脈を使えば
広告なんてどんどん取れる。麦とオレンジさんの会社にとっても良い話しだから、
受けようと思ってるんだよ」と。
確かに、毎月発行される会報誌の仕事が入れば安定収入になるし、いい話しだった。
ただ、既存の代理店とのことや、入稿に関することなど、
私は色々と気になることがあった。
でもWさんは舞い上がっていて、業務の詳細を全く聞いていなかった。
「ちゃんとSさんに確認したほうがいいですよ。」と言うと、
明らかに不機嫌になった。
Wさんにしてみれば、私が大喜びで
「この仕事やらせて下さい!」と言うと思っていたのだろうけど…。
喜ぶどころか、難癖をつけてきたと思われたみたい。
でも、大きな仕事になるだけに慎重にしなければと思った。
Wさんも仕方ないと思ったのか
「じゃあ一回、Sと会って疑問に思ってることを聞いてみたらいいよ」
と言ってくれた。
Wさんにしてみれば、私を説得して早く契約しておきたいと思ったようで、
早々にSさんとのミーティングをセットしてくれた。
【今日のわんこ】