運と感性とひらめきでやってきた。

なんとなく20年、女社長の振返り日記。1999年に会社設立して、いま思うこと。

社員と一緒の激動期 36

人が増えて大変だったこと


「カウンセラーとA子が話しをした」と
紹介会社の友人社長から連絡があったので、
出社してきたA子に「今日の帰りに時間もらってもいい?」と聞いたら、
「はい、大丈夫です。」と淡々した返事がかえってきた。


紹介会社にクレームを入れた後も、A子は普段通りだった。

Kを先に帰らせて、A子と二人で話す。
「紹介会社のカウンセラーさんから連絡きたと思う。
社会保険のことは心配かけたみたいで申し訳なかったけど、
企画営業の仕事に関して、最初は飛び込みやテレアポをするのが
当たり前だと思っているし、業務内容にも書いてたと思うよ」と。


A子は「それはわかっていたけど、
こんなに厳しいと思ってなかったし、私は営業希望じゃなかったんです。
でもHさんが私の希望を聞いてくれなくて、
何となく言いづらくなって、言われるままになってしまいました。」


すごい神経の図太い子だと思ってたけど、
表情に出せないだけで本人なりに悩んでいたようで、
社会保険のことで私のせいにすれば、
営業の仕事を辞める理由になると思ってしまったようだ。


泣きそうになりながら
うつむいてるA子を見てるとかわいそうになってきた。

希望もしてないし、はっきりいって適正もないのに、
大人の事情で世間を知らない若者を
“カウンセリングという名の洗脳”で、お金を出してくれる会社に送り込む。


A子も紹介会社の被害者だなと思った。


「A子は、どんな仕事がしたかったの?」と聞くと
「私、事務系の仕事がしたいんです。
もともと人と話すのは苦手だし、新しいものをどんどんやるより、
決まってる仕事をじっくりやりたい方です。


でもパソコンが苦手なので、
事務職なんて無理と紹介会社の人に言われて、
営業するしかないんだなと。」


確かにA子は全くPCができなかった。
携帯のメールはできるけど、キーボードを片手で打つような状態だった。


だけど、字はとてもきれい。


A子が名刺交換をしてもらった社長さんにお礼状を出したとき、
そのお礼状の字が素晴らしいといって、アポが取れたこともあった。


「そうだね。パソコン、今は全然ダメだけど、
まだ若いんだし覚えればいいし、A子はすっごく字がきれいでしょ。
社長さんに褒められるくらいだし。


それは、ある意味、武器になると思うよ。
事務職が無理なんてことは絶対ないよ。」と言うと泣き出してしまった。


「前の会社でも、私が事務職やりたいと言っても
聞いてくれなかったから辞めたのに、
紹介会社の人もやっぱりちゃんと聞いてくれなくて。


麦とオレンジさんが初めて聞いてくれました。
変なクレームとか言ってしまって、ごめんなさい。」と。


この子、本当はすごく素直なんだけど、
今まで誰も話しを聞いてくれなくて。
もういいやと諦めて開き直ってしまったことが、
横柄な態度へとつながってしまっていたのかなと思った。

何とか希望を叶えてあげたいと思ったけど、
うちでは事務職は必要ないし、教える余裕もない。

そのことを包み隠さず正直に話しをしたら
「本当にありがとうございます。私、まずはPCの学校に行きます。
それでパソコン頑張ってから就職活動します。


いつか麦とオレンジさんに認めてもらえるような
事務のプロになりたいと思います」と笑顔で言ってくれた。


そんなこんなで、2ヶ月ちょっとでA子は辞めていった。


3ヶ月の試用期間内の退職だったから
紹介会社から紹介料の半分が戻ってきた。
それでKとちょっといいお店に飲みにいった。


そこでKが
「麦とオレンジさん、やっぱりSさんを呼び戻しましょう。
Sさん、新しい会社が合ってないみたいです」と言いだした。


【今日のわんこ】

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